ベイエリア日記

ベイエリアでプロダクトマネージャーやってる中年おっさんのブログ

続けることに意義がある

気づいたら1週間以上ブログをサボってしまった。いけない、いけない。

先週はサンフランシスコのプロダクトチームのリーダーシップと一緒に東京に出張してました。東京では、タワーレコードに行ったり、ツタヤに行ったりと、日本ならではの音楽文化を紹介することができ、うちのリーダーたちも興味津々だったようです。

ただ1つ悲しかったというか、日本これでいいのかなと思ったことがあった。韓流アイドルに会うための抽選に応募するために、タワレコの前に購入済みの大量のCDが入った袋をぶら下げる女の子たちに遭遇した。聞くと、1枚2000円のCDを50枚買って、10万円使ったという。同じCDを50枚も持っていても仕方がないので、友達にあげるか捨てるらしい。握手会に参加したい、総選挙の投票権を1枚でも多く入手してお気に入りのメンバーを応援したいという動機でアイドルグループのCDを多数購入することは社会現象となった。オリコンもランキングの集計方式を変更したし、ファンに大量のCDを買わせるビジネスに批判の声も多くあり、この手の商売はもはやなくなったのかと思っていた。何よりも目の前でリアルに「10万円使いました」と無邪気に言っている女の子たちを見て悲しくなった。これじゃキャバクラとかホストの商売と同じじゃないかと。

2013年ごろからストリーミングサービスの立ち上げのために日本のレコード会社さんとライセンスの交渉をしてきました。耳にタコができるくらい聴かされたのは「音楽の価値」という言葉。確かに1枚のアルバムにかけてまともにアーティスト活動をしているアーティストの方がきっと多い。上記の様なアイドル商法をしている方が市場全体からしてみれば少数派かもしれない。でも、まだメジャーに所属しているアーティストでこういう商売をしているのであれば果たしてあの時散々聞かされた「音楽の価値」というのはなんなのかと思う。

日本の音楽市場はまだまだフィジカルの占める割合が大きい。でもそれって本当にユーザーが音楽に対する対価を払っているのか。CDを買えばノベルティやDVD特典、上記の抽選券などが付いてくる。ユーザーは特典が欲しいからCDを買う。特典をつけなければCDは売れない。だから特典に力を入れる。あれれ、なんかずれてないかな。

ストリーミングは着実に大きくなってきてはいるけど、アメリカやヨーロッパに比べれば生まれたても同然。CDを買わなくなっているのはすでに自明。アーティストの創作活動が若手も含めてサポートされるように業界として一貫した方向性を見たいなと思った日本への出張であった。