ベイエリア日記

ベイエリアでプロダクトマネージャーやってる中年おっさんのブログ

一時帰国

LAからSF経由で東京に帰る。ちょうどさっきSFに到着したばかりで、今はUnited Airlineのラウンジでぼーっとしている。


なぜBerkeleyに住む自分がSF経由なのかということはもはやギャグでしかない。元々LAから東京とSFから東京だと同じ直行便でも1000ドル以上の差があり、SFとLAの往復航空券を買って、LAで一泊しても、SFから日本への直行便を買うよりも800ドルくらい安くあがる。不便なのはSFからLA経由で東京往復を買おうとするとSFから東京の直行便と同じくらいか少し安いくらいなので毎回国内線と国際線でチケットを分けて購入しないといけないこと。でもかなりの節約になるので背に腹は変えられない。

今回はそのギャグに拍車がかかって、なぜか往復2500ドルもするSFから羽田への直行区間を含む、LAからSF経由で羽田着、帰りは成田からLAのチケットが1100ドルくらいになるというなかなか合理的に説明が難しい状況となった。ということで僕は今無駄に「Welcome To San Francisco」というUnited Airlineからのショートメールを受け取り、もはや笑っちゃうしかない感じだ。


日本の今年の夏はとにかく暑くて、日本からこっちに来た友人に散々「いやまじで暑いから」と脅されまくっている。こちらの快適な夏に相当スポイルされてるので、果たして耐えられるのか心配。

podcast

Podcastがかなり注目を集めている。Podcast自体は特に目新しいプロダクトではない。特に普及が始まったのはiOS が2004年にPodcastアプリをデフォルトインストールして誰でも簡単にPodcastが楽しめるようになってからだが、そこからの十何年間はPodcastは基本的に無料で楽しむコンテンツというポジションを変えずに来た。一つにはPodcast自体がプラットフォームを持たず完全に民主化された状態が続いていたというのもある。映像ではYoutubeTiktokのようなお化けプラットフォームがコンテンツを集約することによって広告配信プラットフォームとしてのポジションを確立したが、Podcastを聴くことが出来るアプリはただRSSフィードと呼ばれる情報を読み込むことでPodcastの情報を更新したり実際に音源を聴いたりする役目しか果たしていない。どれだけかなりの数のユーザーをアプリが獲得したとしても、そもそもそのアプリでないと聴けないわけではないし、無料で聴けるコンテンツに広告を載せることは難しい。そのためPodcastのクリエイター達の収益減はスポンサーだったりPatreonなどのクリエイター支援サイト経由でのファンドだったりする。そんなことで大きな地殻変動もないままに来たPodcastは特にここアメリカで大きな変貌を遂げている。a16zのレポートinvesting in the podcast ecosystem in 2019(https://a16z.com/2019/05/23/podcast-ecosystem-investing-2019/)によれば、2013年に最低週に一度Podcastを聴いた大人は7%だったが、2019年の調査ではなんと3倍以上の22%となっている。a16zのレポートにはGoogleでの「podcast」のサーチボリュームの時系列推移が出てるけど。これが最近の人々の関心を物語ってる。Audibleがドライバーに受け入れられたように、Podcastも運転中に聞くには最適なコンテンツ(長くて、曲送りなどが不要)なので、すでにドライバーには2013年以前から受容されていたと考えるなら、ここ10年ほどの伸長率は運転中以外にPodcastを聴く人が増えたことによる。同じa16zのレポートによれば家でPodcastを聴く人の割合は48%でダントツ1位。運転中に聞く人は26%で2番目に多い。僕はランニング中Apple WatchPodcastを聴くんだけど、運動中に聞く人は4%だった。意外に少ない。レポートによればこのトレンドシフトはハードとソフトの両面から起こったと見ている。この5年間でEcho、Google Homeのように全米にスマートスピーカーAirpodsのように常にオーディオにアクセスできるデバイスが普及したこと、コンテンツも充実したことをあげている。まだまだインターネット全体の広告額($69bn)に比べれば微々たるものだが、呼応してPodcastでの広告額は$69mmから$200mmに伸長した。


そんな流れを更に加速させたのがSpotify。今年に入ってPodcastに特化したプロダクションのGimletを$2MM、Anchorを$1.4MMで立て続けに買収したことが大きなニュースになった。CEOのDaniel Ekも明確に非音楽コンテンツも含めた“Audio First”を以下のように語っている。


More than 10 years ago we founded Spotify to give consumers something they couldn’t get — music any time, anywhere, and at the right price. Along the way, we broke the grip piracy had on our industry and restored the growth of global music through paid on-demand streaming. I’m proud of what we’ve accomplished, but what I didn’t know when we launched to consumers in 2008 was that audio — not just music — would be the future of Spotify.


Spotifyの動きはある意味必然である。先日発表されたSpotifyの2019年第二四半期の決算発表でSpotifyはサブスクライバーが29%伸びて232mmとなったと発表したが、有料会員数は第1四半期に比べて8mmしか伸びなかった。音楽ストリーミングはAppleAmazonYoutubeと競争が激化し、レッドオーシャンなので非音楽コンテンツに取り組み新たな収益源を模索するのは自然な流れ。それに音楽は権利関係が複雑で、Spotifyはこれまでにレコード会社や出版社と何度も訴訟沙汰になっている。非音楽コンテンツに対するモチベーションはそういうところにもあるのではないかと思う。そんなSpotifyの目論見を競合が看過するわけがなく、AppleもオリジナルのPodcastの製作を計画中との噂が流れてSpotifyの株価が下落するということがあった。


個人的にはSpotifyの目論見が羽ばたくのかは正直わからない。というのもそもそも音楽配信Podcastは全く別物。ストリーミングはアーティストという無数のクリエイターがいるから、数千万曲の楽曲がユーザーに提供できるが、Podcastの製作となると別物。映像ではNetflixが1兆円という目玉が飛び出る金額を映像製作やライセンシングに使い、1000以上のオリジナル作品を作っている。その中には大ヒットするものもあればニッチにしか受けないもの、そして当然ながら大失敗が含まれる。要するにとてもコストがかかる。映像に比べれば桁が違うくらい製作コストは低いが、Spotifyが本気でPodcastにコミットするならそれくらいやらないといけない。むしろ、そうすることで優位性が築ける。アクセル踏むならまだ周りが二の足踏んでいる今なのかなと。


a16zがレポートを出すくらいなのですでにPodcastは“a thing”になっている。SpotifyがObama夫妻とオリジナルのPodcastを製作することで合意済み。

2020年はPodcastonomyの年かな。


ちなみに自分はビジネススクール受験時代にTOEFLの勉強に2倍速でコンテンツを聴きだしたのがPodcastを聴き始めるきっかけとなった。その時はまだBloombergに買収される前のBusiness WeekPodcastとScience Americaのポッドキャストを聴いていた。それからだいぶご無沙汰していたが、2015年くらいからまた聴き出して、最近はランニングう中や通勤中に欠かせないものとなっている。以下がおススメ。


バイリンガルニュース

マミが日本語で、マイケルが英語でニュースを取り上げるPodcast爆笑問題が取り上げて一躍有名に。LGBTやテクノロジーの問題など、あまり日本のニュースが取り上げないニュースが話題となる。絶対マイケルはマミが好きだと思っていたけど、マミは誰かと結婚しちゃったね。


Rebuild.fm

SF在住エンジニアの宮川さんがお届けするリビルドは個性的なゲストを毎回招いて、ハードウェア、ソフトウェア、ゲーム、アニメ、などについてかなりディープなトークを展開する。僕は2014年に宮川さんがバイリンガルニュースにゲスト出演したのをきっかけに知った。はくろうさんのゲームにまつわる話が濃い。矢文案件とか数々の名言も生まれてる。ああもう初めて聴いてから5年かあ。


Dave Chang Show

今僕が毎週欠かさず聴いてるPodcastの1つ。ニューヨークのレストランMomofukuのオーナーであるDavid Changがホスト。フードインダストリーのことだったりMSGのことだったり多岐に渡る。彼の交友関係も広いのでNomaのReneなどゲストもすごい。


a16z Podcast

泣く子も黙るベンチャーキャピタルファームAndreessen and HorowitzのPodcast。blockchainやdeep learningといったテクノロジーの話から、スタートアップの組織、報酬設計に関する話までテクノロジー界隈にいる人なら聴きたいPodcast


Recode/Decode

有名なテクノロジージャーナリストのKara Swishcerがホスト。著名なファウンダーや投資家などをゲストに最新のテクロジーやマクロトレンドに切り込む。


Planet Money

僕は実は最近知ったけど、NPRの老舗Podcast。名の通りお金にまつわる話。Planet MoneyのProducerは前述のGimlet MediaのファウンダーであるAlex Blumberg。僕はPlanet Moneyでサーモンの寿司はそもそも最近になってノルウエーからの働きかかけでできたもので、寿司屋の板前さんは食べないということを知った。

グリーンカード

グリーンカード取得に向けて、先日I-140を提出した。自分は現在勤める会社の日本支社で5年半ほどマネージャーとして勤務してからのアメリカ本社への異動だったので、L1-Aという管理職向けのビザを取得している。このビザの場合、EB-1という区分でのビザ申請が可能でPERMと呼ばれるプロセスをスキップできる。PERMはProgram Electronic Review Managementの略でグリーンカードを申請しようとする非アメリカ人のポジションにアメリカ人を採用できないことを合理的に証明しないといけない。そのため雇用主は実際に求人を出し、実際にレジュメをレビューしなければならないなどの要件がある。アメリカ人の雇用を守るためのプロセスだけど、PERMがあるだけで申請プロセスが半年以上追加でかかるし、本当に誰か出てきたらどうしようと思うと、なかなか精神的にもダメージが大きい。なのでPERMがないだけでもとても有り難いことだと思う。

先日提出したI-140はImmigrant Petition for Alien Workerというドキュメントに振られた番号。自分はEB-1Cという多国籍企業のマネージャー向けの区分で申請するので、日本での仕事の内容(これは今のVPからサインをもらった)と、現在の仕事内容を弁護士にまとめてもらい提出した。I-140が承認されるまで半年から1年ほどかかるらしい。EB-1のその他のカテゴリーだと1,410ドル払うとPremium Processingと言って15営業日ほどで処理してもらうサービスが使えるが、EB-1Cは対象外なので待つしかない。

I-140が承認されると、I-485という書類を出す。これが最後のフェイズでこれが完了すると実際に非移民ビザが移民ビザ(グリーンカード)に切り替わる。ただI-485の提出はEBのカテゴリと国・地域別に割り当て数が決まっているので、承認されたI-140の数が、グリーンカードの発行可能数に達すると、次の年度(10月始まり)まで待たないといけない。USCISのウェブサイトにはVisa Bulletinという掲示板があり、そのテーブルが毎月更新される。最新のBulletinだと今は去年の9月にI-140を提出した申請者のI-485を受け付けている模様。ということで長くなりそうな予感。

Blancket L1-Aは会社ごとに割り当て数が決まってるので、取得がかなり簡単かつスピーディーだったのだが(自分は2ヶ月で取れた)、会社とポジションに紐付いているので転職はおろか、会社内でのポジションやチーム異動にもかなり制約がつく。グリーンカードを取って早く自由を獲得したいところだけど、なんだか先はまだまだ長そうです。もっと早くやっておけばよかったと思うけど、後悔先に立たずなので気長に待ちます。

A$AP Rockey

ラッパーのA$AP Rockyスウェーデンストックホルムで暴行容疑で逮捕された。暴力行為は正当防衛だと主張し、外野は逮捕は不当で人種差別だと騒ぎ立て、トランプまでスウェーデンを批判する事態になっているが、防犯カメラには「くっきりはっきり」彼とその取り巻きが被害者とされる男性を殴ったり、蹴ったり、地面に叩きつけたりするシーンが捉えられていたから決まりが悪い。代理人は仮釈放を求めたが、そもそもスウェーデンには仮釈放の仕組みがないが、外国人については国外逃亡の可能性があるので特例が認められることすら難しそう。


平等や公平を重んじる北欧の一国で当事者が黒人だからという理由で不当に逮捕するのかにわかに信じられなく、色々と調べてみた。圧倒的に白人比率の高いスウェーデンだが移民の比率は13%超で、イラクやシリアなどの中東出身者が特に多いらしい。マイノリティに対する差別などは少なからずあるみたいだけど、いくつかのブログには差別を看過しないスウエーデンの人々について書かれており、実際のところは勿論言えないけど人種差別だからというのはどうなんだろう。


本件、遂にストックホルムで公判が始まった。どうなることやら。


https://www.nbcnews.com/news/nbcblk/asap-rocky-pleads-not-guilty-assault-trial-begins-sweden-n1036036

Gilroy Garlic Festival

MontleyとSan Joseの間にあるGilroyという街で開催されていたGarlic Festivalで銃乱射があり、6歳の子を含む3人が死亡するという事件があった。犯人はネバダ州に住む19歳の未成年でカリフォルニア州では禁止されているアサルトライフルで凶行に及んだ。フェスティバル自体はエントランスでセキュリティチェックがあり、銃器などの危険物の持ち込みに対する対策はされていた。しかし、犯人はフェンスを越えて会場に侵入したので、来場客は寝首をかかれたのもほぼ同然の形となった。

事件通報後、現場近くにいた警察が迅速に状況に対応し、犯人は射殺された。警察が駆けつけるのが遅かったら犠牲者はもっといたかもしれないと思うとぞっとする。

アメリカに住んでいると、セキュリティのない屋内やセキュリティがあっても外から襲撃可能な場所には行くのを躊躇ってしまう。アメリカで銃撃によって殺される人は年間12000人で、確率的に考えれば万に一つ以下なのはわかるけれど、そういう合理的な計算で片付けられない自分がいる。

来週末にはGolden Gate ParkでOutside Landsがある。会場警備に関しては入り口のセキュリティだけでなく、フェンス沿いに警備スタッフを配置する徹底ぶりということだけど、Gilroyの事件の後だけに納得がいく。チケット高いなと思ってたけど、もしセキュリティコストのためなら誰も惜しまない。

日本にいた時はこんなストレスなかったな。アメリカ人が日本に来て、日本は治安が良いのが素晴らしい、と皆が言うけど、アメリカに住む今だからそのありがたみが分かる気がするよ。

動き出してから考える目標

自分は最初から目標を決めてそこに向かうのがどうやら苦手らしい。どうやらというか、きっとそう。

もちろん長期的にどこに行きたいのか、人生やキャリアにおいて、というのは必要だと思う。でも走り出して初めてわかることがある。止まってる時は、座標で言えばxとyくらいしかわからないけど、走り出せばベクトルも速度も加速度もいろんなことがわかるようになる。そんななかで、ここまで行けそうだとか、そういうことが止まっている時よりもかなり現実的に考えられるようになる。それに動き出すと、欲が出てくる。止まってる時には考えられないような。

今日はSan Francisco Marathonのハーフの部に参加してきた。ハーフマラソンを最後には走ったのは確か6年くらい前の川崎ハーフ。その時は1時間40分くらいだった。河川敷沿いの高低差のほとんどないスピードレースだった。今回は当時には及ばないけど、1時間50分を切ることができた。この数ヶ月、レースに登録してから練習してたけど、アップダウンの相当激しいコースでこの記録が出せたのはちょっと嬉しい。1時間50分を切れそうだったので、最後の200メートルくらいは猛ダッシュした。本当に猛ダッシュ

最初は楽しんで走ろうと思ったんだけど、周りの人達につられたのと、なんだか割と早く走れそうだと思った結果。それでレース後に冒頭のようなことを考えたわけだ。

11月にBerkeleyでもハーフがあるらしい。走り続ける理由にもなるので登録しようと思う。しかしこの夏でもマラソンが開催できるなんてのは本当にベイエリアくらいだよな。

バスよ!

最近帰りのバスがすごい混んでいる。イーストベイから公共交通機関を使って通勤する手段としては、バス(AC Transit)、地下鉄(BART)、フェリーがある。多分BARTで通勤する人が多いと思うのだけど、自分はバス停が家から2分のところにあるので、バスで通勤している。朝は大体7:07amか7:17amの早めのバスに乗ってしまうので、大抵の場合は座れる。なのに、最近はいつも帰りに乗る5:30pmか6:00pmのバスが激混み。大体出発の10分前にはバス待ちの長蛇の列が出来ている。今年に入ってからダブルデッカーの運用が始まって、座席数もおそらく1.7倍くらいに増えたはずなのに、出発15分くらい前にならばないと座席確保すら難しいくらい。年初こんなに混んでた記憶がないので、明らかに乗客が増えている感じがする。バスはほとんど30分おきにしかないし、7:00pmが終バスなので本数も限られている。このままの勢いで増え続けたら乗り切れない乗客が増えるのではないかとちょっと心配である。


渋滞の緩和を目的として近くのBerkeley MarinaとSan FranciscoのFerry Buildingの間でフェリーを運航する話もあるけど、やっぱりバスが一番便利なんだよね。フェリーは金曜日に早めに上がって、ぼんやり海でも見ながらビール飲みつつ帰るのに使いたいけどさ。