ベイエリア日記

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Censusで一悶着

アメリカ人ですか?」


この質問をトランプが国勢調査に追加しようとして、物議をかもしている。


統計上重要な国勢調査において、国籍に関する質問がないというのは意外なのだが、実は1950年の統計収集開始から含まれていないとのこと。ただし、これは簡略版に限った話で、1970年に配布が始まった詳細版には実際国籍に関する質問が含まれていた。この詳細版は2010年まで10年おきに配布されていたが、質問が多すぎてあまりに煩雑であると廃止された。タイミングがオバマの任期と被っているため、ネットでは彼が廃止したとする記事もあるけど、これは誤りで実際はブッシュの任期中に確定したらしい。


この質問がなぜ含まれていないのかには、そもそも国勢調査の目的に遡らなければならない。国勢調査は年齢や性別といった基本的な統計、収入や支出に関する経済統計を収集するだけでなく、議員数の割り当てや地方交付金の給付額決定に使われる。アメリカの憲法で規定された重要な調査である。しかし、アメリカには1100万人(人口の約3%近く)がいるので、この3%が国籍を問うことで国勢調査自体への参加を拒否する可能性があるのではという懸念もありこれまで追加されてこなかったらしい。トランプにとっては、国勢調査不法滞在者による回答が少なくなれば、議員数や交付金の割り当てをシチズンシップの保持者に合わせることができる。そのため何としてでも国籍に関する質問を国勢調査に打ち込みたいというのが思惑らしい。


そもそもの発端は、商務長官のロスが言い出しっぺであると言われているが、彼は強硬にDOJ(法務省)からの指示だと言っている。その点の証言が曖昧で、結果として最高裁で5-4で「憲法に照らして相応しくない」とされた。トランプは11日に一度白旗を上げたのだけど、いつも通り大統領令で決定を覆そうとしているから、この国の政治はドラマより面白いよ。