ベイエリア日記

ベイエリアでプロダクトマネージャーやってる中年おっさんのブログ

デザイン

深澤直人という人がいる。デザインカンパニーとして名を馳せるIDEOに勤め、日本に帰国してからは自分の事務所を立ち上げてauinfobarや無印の壁掛けCDプレーヤーをデザインした。僕の日々の仕事はカスタマーの問題を見つけて、その解決策を形にする仕事だが、その仕事を通じて解決策を形にするだけでは不十分であるということを痛感してるので、最近はデザインというものにとても興味を持っている。何が不十分かというとソリューションというのはそれだけでは不十分であり、それをいかにユーザーの行動の中に自然な形で表すことが必要ということである。ここで僕の言っているデザインとは、見た目のデザインではなく、ソリューションとユーザーのインタラクションのデザインである。僕も昔はデザインという単語をきくと、グラフィックスのデザインをすぐに想像していたが、イームズもいうようにデザインは本来問題を解決する方法の1つである。ということに気づいたのが最近なのはちょっと恥ずかしいのだけど、原研哉の本を読んだり、デザインの展示に足を運んで最近は色々と勉強するようになった。深澤直人の話に戻る。彼は人間の自然な行動にソリューションを埋め込む。例えば彼のデザインで僕が一番好きなのは、壁から数センチか離れた場所に溝を掘りつくった傘立て。僕らはよく壁に傘を立てかけるが傘の先は地面を滑って落ちてしまう。でも地面に溝があってそこに傘の先端を差し込んで、柄を壁に立てかければそれだけで立派な傘立てになる。ユーザーはすでに行なっている行動なので何の違和感もない。行動に機能を持たせることが可能になる。


傘立てのデザインを見ていると、日常にこそよいデザインのヒントが隠されているのだなと思う。注意深く人々を観察し、理解することがよいデザインに繋がるのではないかと。月並みながらそういうことを考えた。